ベルヌーイの定理はオープンエアでは適用できない。

 小誌「四畳半の空力実験室」で私見として述べた項目の大きな一つが、空気中(オープンエア)での事象にはベルヌーイの定理は適用できないということです。

   いろいろな辞書で調べると

 <ベルヌーイの定理> 

  ・閉じられた系内での非粘性、非圧縮性流体

   エネルギー保存の法則を示す定理である

   (理想気体の定常流れにおいてのみ成り立つ

 ほとんどこのように書かれています。

 しかし、空気中というオープンエアは閉じられた系内ではないし、空気は粘性も圧縮性もあり理想気体ではない。ましてや空気中の流れは乱流となる。

 つまり、『空気中の事象にはこの定理は適用できませんよ』、とベルヌーイ氏本人がはっきりと断っているのです。どうしてこれを無視するのでしょうか?

 私には「空気中」というオープンエアの場がこの定理が成り立つ環境とはとても思えません!

 ただし、パイプ内は閉じられた系内です。理想気体ではない誤差をそのパイプ特有の係数で補正して流量測定機器などにこの定理を活用している例は多々あります


*エネルギー保存の法則を表す式

  P+(1/2)ρv²+ρgh=一定  P:気圧、v:流速、ρ:密度、g:重力加速度、h:高さ 

 

  (1/2)ρv²は動的エネルギー、ρghは位置エネルギー

水平飛行ではρ、g、hは一定だからρghを省略して

   P+(1/2)ρv²=一定   ∴ P(気圧)の項+v(流速)の項=一定

 よって、従来説では速い流れは気圧が低いと解釈しているのです。

 しかし気圧が低い場の流れは速くなる、とも読めるのですが空力の先生方はそのような解釈はしないようです。

 つまり、空気中の様々な空力に関する事象を解説する時、速い流れは気圧が低い、と言ってしまえば実に都合がいいのです。


 小誌にはベルヌーイの定理で説明してはいけない事例をいくつか載せましたが、例えば、口をすぼめて息を手の平に吹き出して見てください。

 もし息の流れの気圧が低いのなら、気圧の高い周りの空気が集まって来て流れは先細りになるはずですが、逆に広がっているのが分かりますよね!


 空気中(オープンエア)での事象にはベルヌーイの定理は適用できないのです。

 ∴ 翼に揚力が発生するメカニズムにこの定理は使えないのです。

飛行機はこうして飛んでいる!

The plane is flying like this! 「空力」のトップページ 翼に揚力が発生するメカニズムの説明にベルヌーイの定理は使えない。 簡単な実験で証明して揚力発生の真のメカニズムに迫る。 <車の実験屋の空力実験室> Hase Aerodynamics Labo 長谷川隆

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